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【2025年最新版】都内事業者が知るべき中国インバウンド集客の鍵。「RED(小紅書)」と「WeChat(微信)」完全攻略ガイド

2025.08.11

コラム

2025年、東京のインバウンド市場は本格的な回復軌道に乗り、街は再び多くの外国人観光客で賑わっています。特に、圧倒的な人口と高い消費意欲を背景に持つ中国人観光客の存在は、都内のあらゆる事業者にとって、ビジネスを飛躍させる絶好の機会と言えるでしょう。

しかし、彼らが旅行情報を収集し、購買を決定するプロセスは、私たちが慣れ親しんだものとは大きく異なります。その中心にあるのが、中国の二大プラットフォーム「RED(小紅書)」と「WeChat(微信)」です。

「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどう活用すれば集客に繋がるのかわからない…」
そうお悩みの飲食店、小売店、宿泊施設、体験サービスなどの事業者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、「都内でのインバウンド集客(中国市場)」をテーマに、なぜ今この二つのアプリが重要なのか、そして具体的な活用方法から成功のポイントまで、2,000文字で徹底的に解説します。

なぜ今、中国人観光客なのか?最新インバウンド市場動向

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年6月の訪日中国人数は約79.8万人に達し、コロナ禍以前の水準に迫る勢いを見せています。さらに驚くべきはその消費額です。観光庁の調査では、2025年4-6月期の訪日中国人による旅行消費額は5,160億円と、国・地域別で断トツの1位を誇ります。

近年の中国人観光客の旅行スタイルは、かつての団体旅行による「モノ消費(爆買い)」から、よりパーソナルな体験を重視する「コト消費」へとシフトしています。特に、20代〜30代の若年層は、SNSでの「映え」や、そこでしかできないユニークな体験を求め、個人旅行で都内のディープなスポットを訪れる傾向が強まっています。

彼らが旅の情報を得る上で絶大な信頼を置いているのが、SNS上のリアルな口コミです。この変化こそ、都内の事業者が「RED」と「WeChat」を理解すべき最大の理由なのです。

中国向け二大巨頭「RED(小紅書)」と「WeChat(微信)」とは?

(1)RED (小紅書) – 口コミが新たな消費を生む「発見・購買」プラットフォーム
概要: 「RED(レッド)」、中国語で「小紅書(シャオホンスー)」は、「中国版Instagram」と称されることもありますが、その本質はビジュアル中心の口コミ・ライフスタイル共有SNSであり、EC機能が融合した「ソーシャルコマース」プラットフォームです。

ユーザー層: 月間アクティブユーザーは2億人以上。その多くが、都市部に住むトレンドに敏感な10代後半から30代の女性です。

インバウンドにおける役割: 「認知獲得」と「来店・購買のきっかけ作り」
中国人ユーザー、特に若年層は、旅行先のレストランやカフェ、購入したいお土産やコスメ、体験したいアクティビティをREDで検索し、一般ユーザーのリアルな口コミ(UGC: User Generated Content)を参考にして意思決定を行います。「#東京グルメ」「#日本必買 (日本で必ず買うべきもの)」といったハッシュタグで検索すれば、無数の写真や動画付きのレビューが投稿されています。信頼できる口コミこそが、彼らの消費行動を直接的に動かすのです。

(2)WeChat (微信) – 13億人が使う「生活インフラ」
概要: 「WeChat(ウィーチャット)」、中国語で「微信(ウェイシン)」は、月間アクティブユーザー13億人以上を誇る、まさに中国社会の「生活インフラ」です。日本のLINEのようなメッセンジャー機能に加え、SNS(モーメンツ)、キャッシュレス決済(WeChat Pay)、情報収集(公式アカウント)、さらには予約や会員証機能まで内包する「スーパーアプリ」です。

インバウンドにおける役割: 「顧客との継続的な接点」と「利便性の向上」
WeChatは、一度繋がった顧客との関係を深めるのに最適なツールです。公式アカウントを通じてセール情報や新商品情報を届けたり、クーポンを配布したりすることで、再来店を促します。また、WeChat Pay決済の導入は、中国人観光客にとって「当たり前」の支払い手段を提供することになり、機会損失を防ぎ、顧客満足度を大幅に向上させます。

【都内事業者向け】RED(小紅書)を活用した集客術

ステップ1:公式アカウントの開設と運用
まずはビジネス用の公式アカウントを開設しましょう。そして、ターゲットとなる中国人観光客に「発見」してもらうためのコンテンツを発信します。

魅力的なコンテンツの例
<飲食店>
シズル感のある料理動画、店内の雰囲気、内装のこだわり、スタッフの笑顔などを投稿。「#新宿グルメ」「#渋谷カフェ」といったエリア名や、「#ラーメン」「#抹茶スイーツ」などの具体的なメニュー名をハッシュタグに盛り込む。
<小売店>
「東京のお土産トップ5」「銀座でしか買えない限定コスメ」といった切り口で商品を紹介。免税手続きの案内なども喜ばれます。「#東京お土産」「#銀座ショッピング」は必須ハッシュタグです。
<体験サービス>
着物レンタルなら、様々なデザインの着物や美しいロケーションでの撮影風景を。茶道体験なら、静かで雅な雰囲気が伝わる動画を投稿。「#着物体験」「#日本文化」などでアピール。

ステップ2:KOL/KOCマーケティングの実施
絶大な効果を発揮するのが、インフルエンサー施策です。

KOL (Key Opinion Leader)
特定分野の専門家や影響力の大きいインフルエンサー。起用することで、ブランドの認知度や権威性を一気に高めることができます。
KOC (Key Opinion Consumer)
フォロワー数は多くないものの、特定の商品やブランドに熱量を持つ一般消費者。友人におすすめするようなリアルな口コミは、ユーザーの共感を呼び、購買の「最後の一押し」として非常に強力です。
自社のターゲットや予算に合わせて、適切なKOL/KOCを起用し、リアルな体験を発信してもらうことが集客への近道です。

  1. 【都内事業者向け】WeChat(微信)を活用した集客術

ステップ1:WeChat Payの導入
これは「マスト」の施策です。中国人観光客は現金を持ち歩かない習慣が根付いています。WeChat Payが使えないことは、それだけで選択肢から外れてしまう大きな機会損失に繋がります。各種決済代行サービスを利用すれば、比較的簡単に導入が可能です。

ステップ2:公式アカウントでのリピーター育成
店舗でWeChat Payを利用したお客様に、公式アカウントのフォローを促しましょう。QRコードをレジ横に設置するのが効果的です。フォローしてくれたユーザーに対し、定期的に限定クーポンやキャンペーン情報を配信することで、旅アトの繋がりを維持し、次回の来日時の再訪や、知人への口コミを促します。

ステップ3:ミニプログラムの活用(中〜上級者向け)
WeChat内で動作する、ダウンロード不要の簡易的なアプリが「ミニプログラム」です。

活用例:
<飲食店>多言語メニューの表示、セルフオーダー、事前予約システム
<宿泊施設>宿泊予約、ルームサービス、周辺観光案内
<小売店>会員証、ポイントカード、EC機能

ミニプログラムを導入することで、言語の壁を取り払い、よりスムーズで快適な顧客体験を提供できます。

  1. REDとWeChatの連携で相乗効果を生み出す

最強の戦略は、この二つを連携させることです。

【認知・発見】
まずはREDで、魅力的な投稿やKOCの口コミを通じて、あなたのお店やサービスをまだ知らない潜在顧客に「発見」してもらう。
【興味・来店】
REDの投稿で興味を持ったユーザーが来店。
【関係構築】
店頭でWeChat Payを使って決済してもらい、その際にWeChat公式アカウントへの登録を促す。
【再訪・拡散】
WeChatで継続的にコミュニケーションを取り、ファンになってもらう。ファンになった顧客が、自身のSNS(REDやWeChatモーメンツ)で新たな口コミを投稿し、次の新規顧客を呼ぶ。

この好循環を生み出すことが、中国インバウンド集客の成功モデルです。

まとめ:成功の鍵は「相手を知り、寄り添うこと」

中国人観光客の集客は、単にツールを導入するだけでは成功しません。成功の鍵は、彼らの文化、トレンド、そして「何に価値を感じるのか」を理解し、彼らが日常的に使うプラットフォーム上で、彼らの言葉と感性に寄り添ったコミュニケーションを行うことです。

中国人観光客の「今」を理解し、可能性の大きさを認識する。
「RED」で発見のきっかけを作り、リアルな口コミの力を活用する。
「WeChat」で顧客と繋がり、決済の利便性と再訪の仕組みを提供する。

これらは、もはや特別な施策ではなく、これからの都内インバウンド市場で勝ち抜くための「スタンダード」となりつつあります。まずは自社のサービスと親和性の高いREDでの情報発信から、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。その一歩が、未来の大きなビジネスチャンスに繋がるはずです。